WordPressでインボイス制度(適格請求書)に対応したECサイトを作る方法

2023年10月にスタートしたインボイス制度(適格請求書等保存方式)は、日本で事業を営むすべての事業者に影響を与える税務制度です。WooCommerce(ウーコマース)でECサイトを運営している場合、「登録番号をどこに表示すればいいのか」「領収書や請求書を自動発行できるのか」「免税事業者のままでいいのか」といった疑問を持つ方が多くいらっしゃいます。

この記事では、WordPress(ワードプレス)とWooCommerce(ウーコマース)を使ったECサイトをインボイス制度に対応させるための具体的な手順を、2026年時点の最新情報をもとに詳しく解説します。税率設定・登録番号の表示・適格請求書の自動発行プラグインの設定まで、実務で使える内容を網羅しています。

Chinese workers stand next to delivery cars during the opening ceremony of Yamato (China) Transport Co., Ltd. in Shanghai, China, January 19, 2010.

Japanese biggest logistics services provider Yamato Transport Co., Ltd. has lately set foot in Mainland China, following a batch of global express moguls like FedEx Express and United Parcel Service, Inc.. Yamato Holdings Co., Ltd., parent of Yamato Transport, teamed up with Shanghai Jiushi Corporation and a Shanghai-based investment firm to found a joint venture named Yamato (China) Transport Co., Ltd., taking a stake of 65%. 17.5%, and 17.5%, respectively.
⚠ この記事は税務アドバイスではありません この記事はWordPress(ワードプレス)・WooCommerce(ウーコマース)の設定方法に関する技術的な情報を提供するものです。 インボイス制度への対応方針(課税事業者への登録可否・免税事業者のまま続けるかどうかなど)については、必ず担当の税理士または国税庁の窓口にご相談ください。

この記事でわかること

  • インボイス制度(適格請求書等保存方式)の基本とECサイト運営者への影響
  • 課税事業者・免税事業者それぞれが取るべき対応の違い
  • WooCommerce(ウーコマース)の消費税設定を日本の税率に正しく合わせる手順
  • 適格請求書発行事業者の登録番号を注文確認メールや領収書に表示する方法
  • 領収書・請求書を自動発行できるプラグインの選び方と設定手順
  • 軽減税率(8%)対象商品の設定方法
  • よくある設定ミスと対処法

インボイス制度とは何か——ECサイト運営者への影響

インボイス制度の概要

インボイス制度(適格請求書等保存方式)とは、消費税の仕入税額控除を受けるために、売り手が「適格請求書(インボイス)」を発行・保存する仕組みです。2023年10月1日から導入されており、買い手(仕入れを行う事業者)がインボイスに対応した請求書・領収書を保存していないと、消費税の仕入税額控除が適用されなくなります。

ECサイト(ネットショップ)の運営者にとって特に重要なのは、次の2点です。

  • 法人・個人事業主のBtoBビジネス:取引先(買い手)が課税事業者の場合、適格請求書を発行できないと「取引先の税負担が増える」として取引を敬遠されるリスクがあります。
  • 一般消費者向けのBtoCビジネス:最終消費者(個人)は仕入税額控除の対象外のため、インボイスの発行が必須ではありません。ただし、請求書・領収書に登録番号を記載することで、お客様からの信頼が高まります。

課税事業者と免税事業者——どちらに該当するか

インボイス制度への対応は、自分が「課税事業者」か「免税事業者」かによって異なります。

区分条件(目安)インボイスへの対応
課税事業者課税売上高が年1,000万円超、または課税事業者選択届を提出済み適格請求書発行事業者への登録が必要。登録番号(T+13桁)を取得して請求書・領収書に記載する
免税事業者課税売上高が年1,000万円以下で課税事業者選択届を提出していない適格請求書の発行義務なし。ただし取引先から「登録してほしい」と求められるケースがある。登録するかどうかは経営判断
インボイス登録済みの免税事業者免税事業者だが自ら課税事業者登録を行った場合登録番号を取得し、適格請求書の発行が可能になる。2割特例(売上税額の2割を納税)の適用期間あり
💡 2割特例(経過措置)について 免税事業者がインボイス登録を行った場合、2026年9月30日までの申告については「売上にかかる消費税額の2割を納税額とする」2割特例が適用されます。 この特例を利用するかどうかも、税理士に相談して判断することを推奨します。

WooCommerce(ウーコマース)の消費税設定を日本の税率に合わせる

消費税設定の基本:3つの確認ポイント

WooCommerce(ウーコマース)の消費税設定はデフォルトでは無効になっており、日本の税率(標準税率10%・軽減税率8%)も自動では設定されていません。まず以下の3つを確認・設定してください。

ステップ1:消費税を有効にする

  1. WordPress(ワードプレス)管理画面の「WooCommerce → 設定 → 一般」を開く
  2. 「税を有効にする」のチェックボックスにチェックを入れる
  3. 「変更を保存」をクリックする
  4. メニューに「税」タブが追加されるので開く

ステップ2:基本的な税設定を日本向けに変更する

「WooCommerce → 設定 → 税」タブを開き、以下の項目を設定します。

  • 価格の入力方法:「税込みで価格を入力する」を選択します。日本では総額表示(消費税込みの価格表示)が義務のため、この設定が正しいケースがほとんどです。
  • 税の計算方法:「顧客の配送先住所に基づいて計算する」を選択します。
  • 配送の税クラス:「標準税率」を選択します。
  • 丸め処理:「各税のラインで丸める」を選択すると、日本の消費税計算に適した処理になります。
  • 税の表示方法:商品ページ・カート・チェックアウト・注文確認メールそれぞれで「税込み価格を表示する」に統一します。

ステップ3:標準税率(10%)を登録する

  1. 「WooCommerce → 設定 → 税 → 標準税率」タブを開く
  2. 「行を挿入」をクリックして新しい行を追加する
  3. 「国コード」欄に「JP」、「税率」欄に「10」と入力する
  4. 「税名」欄に「消費税(10%)」と入力する
  5. 「優先度」を「1」、「複合」と「配送」のチェックは外す(配送は別途設定)
  6. 「変更を保存」をクリックする
💡 標準税率・軽減税率の2種類を登録する理由 食品・飲料(外食・アルコールを除く)・定期購読の新聞は軽減税率(8%)が適用されます。 これらを販売しているECサイトでは「軽減税率」タブにも8%の税率を別途登録し、対象商品に軽減税率クラスを設定する必要があります。 食品以外の商品のみを販売している場合は、標準税率(10%)だけで問題ありません。

ステップ4:軽減税率(8%)の設定(食品・飲料販売の場合)

  1. 「WooCommerce → 設定 → 税 → 軽減税率」タブを開く
  2. 「行を挿入」から「JP」・「8」・「軽減税率(8%)」を登録する
  3. 商品の編集画面を開き、「一般」タブの「税クラス」で対象商品を「軽減税率」に変更する
  4. カートページやチェックアウト画面で軽減税率が正しく表示されることをテスト確認する

適格請求書発行事業者の登録番号をサイトに表示する

登録番号とは

適格請求書発行事業者として登録すると、国税庁から「T+13桁の数字」からなる登録番号が発行されます。この番号を、注文確認メール・領収書・請求書に記載することで、受け取った側(取引先)が仕入税額控除の要件を満たせるようになります。

登録番号を注文確認メールに追加する

WooCommerce(ウーコマース)の注文確認メールに登録番号を追加する最もシンプルな方法は、メールテンプレートのフッターに番号を記載することです。

  1. WordPress(ワードプレス)管理画面の「WooCommerce → 設定 → メール」を開く
  2. 「処理中の注文」「完了した注文」などの各メールテンプレートを開く
  3. 「メールのフッターテキスト」欄に「適格請求書発行事業者 登録番号:T1234567890123」と入力する(番号は実際の登録番号に置き換える)
  4. 「変更を保存」をクリックし、テストメールを送信して表示を確認する
📌 登録番号の記載が必要な書類 適格請求書(インボイス)として認められるには、以下の項目がすべて記載されている必要があります。 ① 適格請求書発行事業者の氏名または名称、② 登録番号(T+13桁)、③ 取引年月日、④ 取引内容(軽減税率対象品目は明記)、⑤ 税率ごとに区分した対価の額(税抜または税込)と適用税率、⑥ 税率ごとに区分した消費税額、⑦ 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称

登録番号をサイトのフッターや特商法ページに表示する

BtoB取引が多いECサイトでは、サイトのフッター(footer)や特定商取引法に基づく表示ページに登録番号を明示しておくと、取引先からの信頼が高まります。WordPress(ワードプレス)のフッターウィジェットに「適格請求書発行事業者 登録番号:T〇〇〇…」と追加するだけで対応できます。

領収書・請求書を自動発行できるプラグインの選び方と設定手順

プラグインが必要な理由

WooCommerce(ウーコマース)の標準機能では、注文確認メールは送信できますが、PDF形式の領収書・請求書を自動発行する機能はありません。インボイス制度対応の観点から、PDFで正式な適格請求書を発行・保存できる仕組みを整えることが重要です。

プラグイン名主な機能費用インボイス対応
WooCommerce PDF Invoices & Packing Slips注文完了時にPDF領収書を自動添付・ダウンロード可能無料(基本機能)テンプレートのカスタマイズで登録番号を追加可能
YITH WooCommerce PDF Invoices and Packing SlipsPDF請求書・納品書の自動生成。デザインカスタマイズが豊富無料〜有料プレミアム版で登録番号フィールドの追加が容易
Woo Order Email Invoices管理画面から手動でPDF請求書を送付・ダウンロード有料
WP Slimstat / カスタム開発自社要件に合わせた完全カスタマイズ開発費用が必要◎(完全対応)

推奨プラグイン:WooCommerce PDF Invoices & Packing Slipsの設定手順

無料で使えて実績も豊富な「WooCommerce PDF Invoices & Packing Slips」の設定手順を紹介します。

  1. WordPress(ワードプレス)管理画面の「プラグイン → 新規追加」で「WooCommerce PDF Invoices」を検索してインストール・有効化する
  2. 「WooCommerce → PDF Invoices」の設定画面を開く
  3. 「テンプレート」タブでレイアウトを選択し、「ショップ名」「住所」「登録番号(T〇〇〇…)」をフッターまたはヘッダーに入力する
  4. 「注文確認メールにPDFを添付する」を有効にする
  5. 「税の表示」を「税込み金額と消費税額を両方表示する」に設定する
  6. テスト注文を1件完了させ、注文確認メールにPDFが添付されていることを確認する
  7. PDFの内容に登録番号・税率・消費税額が正しく記載されていることを確認する
💡 お客様がPDFをダウンロードできる設定 「マイアカウント」ページの注文履歴から、お客様自身がPDF領収書をいつでもダウンロードできるよう設定することを推奨します。 WooCommerce PDF Invoices & Packing Slipsでは「マイアカウントページでのダウンロードを許可する」オプションを有効にするだけで対応できます。 これにより「領収書を再発行してほしい」という問い合わせを大幅に削減できます。

免税事業者のままECサイトを運営する場合の対応

免税事業者がインボイス登録をしない場合の影響

課税売上高が年1,000万円以下の免税事業者(小規模事業者・個人ネットショップ運営者など)がインボイス登録をしない場合、以下のような状況になります。

  • 一般消費者(個人)向けBtoCのECサイト:最終消費者は仕入税額控除を必要としないため、実務上の影響はほとんどありません。インボイスの発行義務もなく、現状のまま運営できます。
  • 法人・個人事業主向けBtoBのECサイト:取引先が課税事業者の場合、インボイスなしでは取引先が仕入税額控除を受けられなくなります。そのため取引先から「インボイス登録をしてほしい」と求められたり、値引き交渉をされるリスクがあります。

免税事業者がWooCommerceで行うべき設定

インボイス登録をしない免税事業者であっても、消費税を「内税(税込み価格)」で表示することは総額表示義務の観点から必要です。ただし、請求書・領収書に「消費税〇〇円」という税額を明示することは、インボイス制度上は適格請求書に当たらないため、「消費税相当額を含む」といった表現にとどめる方法を選択する事業者もいます。この点については税理士への確認を推奨します。

📋 免税事業者向けWooCommerce設定のまとめ 消費税は「有効化」し、価格は「税込みで表示」に設定する(総額表示義務への対応) 注文確認メールや領収書には「登録番号なし」でも問題ないが、消費税額の内訳表示については税理士に確認する BtoB取引が増えてきた場合は、課税事業者登録のメリット・デメリットを改めて検討する

軽減税率(8%)対象商品を販売している場合の実務設定

軽減税率の対象となる商品カテゴリ

WooCommerce(ウーコマース)で軽減税率対象の商品を販売している場合、商品ごとに税率クラスを分ける設定が必要です。軽減税率(8%)の主な対象は以下のとおりです。

  • 対象:食品・飲料(外食・酒類・みりんを除く)、定期購読の新聞(週2回以上発行)
  • 対象外:外食・テイクアウト以外の酒類・ペットフード・医薬品・サプリメント(食品と判断される場合は対象になることも)

商品別に税率クラスを設定する手順

  1. 「WooCommerce → 設定 → 税 → 軽減税率」タブで8%の税率を登録する(まだの場合)
  2. 軽減税率対象の商品編集画面を開く
  3. 「商品データ → 一般」タブの「税クラス(Tax Status / Tax Class)」を「軽減税率」に変更する
  4. 「更新」をクリックして保存する
  5. カートやチェックアウト画面で当該商品に8%が適用されていることをテスト確認する
⚠ 標準税率・軽減税率の混在チェックアウト 1回の注文に標準税率(10%)の商品と軽減税率(8%)の商品が混在する場合、WooCommerce(ウーコマース)は税率ごとに消費税額を自動で分けて計算します。 適格請求書の要件として「税率ごとの消費税額」を別々に記載することが必要なため、使用しているPDF領収書プラグインが税率別に消費税を表示できるか確認してください。

よくある設定ミスと注意点

  1. 消費税を有効にしたのに価格が税込みで二重計上される:「税込みで価格を入力する」と「消費税を追加表示する」の設定が混在しているケースです。「WooCommerce → 設定 → 税 → 一般設定」で「価格の入力方法」と「ショップの表示価格」を統一してください。「税込みで価格を入力」し、「税込みで表示」に統一するのが日本では一般的です。
  2. 軽減税率の商品に標準税率が適用されてしまう:商品編集画面の「税クラス」の設定が「標準」のままになっているケースです。軽減税率対象の商品は必ず「税クラス」を「軽減税率」に変更してください。商品が多い場合は一括編集(Bulk Edit)機能を使うか、CSVインポートで対応できます。
  3. PDF領収書に登録番号が表示されない:プラグインのテンプレートファイルに登録番号の入力フィールドが用意されていない場合があります。プラグインの設定画面で「カスタムフッター」や「備考欄」に直接記載するか、プレミアム版にアップグレードして専用フィールドを追加してください。
  4. 注文確認メールにPDFが添付されない:WooCommerce(ウーコマース)のメール設定でPDF添付が有効になっていても、使用しているSMTPプラグイン(WP Mail SMTPなど)によっては添付ファイルがブロックされる場合があります。WP Mail SMTPの設定で「添付ファイルを許可する」オプションが有効になっているか確認してください。
  5. XサーバーやConoHa WINGで領収書PDFの生成が遅い:PDF生成はサーバーリソースを消費します。共有ホスティング(XサーバーやConoHa WING)の低スペックプランでは、大量注文時にPDF生成がタイムアウトするケースがあります。プランのアップグレードか、PDF生成を非同期処理するプレミアムプラグインへの移行を検討してください。

インボイス対応設定完了後の確認チェックリスト

以下の項目をすべてテスト注文で確認してから本番運用に移行してください。

  • 消費税(10%)が商品価格・カート・チェックアウト・注文確認メールで正しく表示されるか
  • 軽減税率(8%)対象商品に8%が正しく適用されているか
  • 注文確認メールのフッターに適格請求書発行事業者の登録番号が表示されているか
  • 注文確認メールにPDF領収書が添付されているか
  • PDF領収書に①事業者名、②登録番号、③取引年月日、④取引内容、⑤税率別消費税額のすべてが記載されているか
  • 「マイアカウント」ページの注文履歴からPDFがダウンロードできるか
  • 標準税率・軽減税率の商品が混在する注文で、PDF領収書に税率別の消費税額が分けて記載されているか
  • 免税事業者の場合:消費税は税込み表示になっているか

まとめ・今日からできる次のステップ

WooCommerce(ウーコマース)をインボイス制度に対応させるために必要なことは、大きく3つです。①「WooCommerce → 設定 → 税」で日本の消費税率(10%・軽減税率8%)を正しく設定する、②注文確認メールと領収書に適格請求書発行事業者の登録番号を記載する、③PDF領収書を自動発行できるプラグインを導入する——この3点を整えるだけで、インボイス制度への基本対応は完了します。

今日すぐできる行動は、WordPress(ワードプレス)管理画面で「WooCommerce → 設定 → 税」を開き、消費税が有効になっているか・税率が正しく登録されているかを確認することです。まだ設定されていない場合は、この記事の手順に沿って今日中に設定を完了させましょう。インボイス制度への対応は法令遵守であると同時に、取引先からの信頼を高める機会でもあります。

レビューを追加する

メールアドレスが公開されることはありません。 必須フィールドは * でマークされています